日限り地蔵尊と日野源太左衛門
1864年、元治元年に起こった水戸天狗党騒動の時のお話です。
この騒動が起こった時、二本松藩からも番頭の大谷鳴海、大谷与兵衛らが兵を率いて水戸へ向かいました。
その二本松藩兵の総隊長が、ご家老の「日野源太左衛門」さん。
この源太左衛門さんが戦場で馬上から指揮していた時、急に目の前に一丈(約3メートル)くらいの大入道が現れたそうです。
すると同時に、天狗党の弾丸が日野さんの胸に命中!
撃たれた拍子に源太左衛門は落馬して、気を失ってしまいます。
その後暫くしてハッと正気に戻った源太左衛門さん。
兵卒「目ェ覚めましたか隊長ォォォオ(´;ω;`)ブワッ」
源太「……アレ? 俺、生きてます? ていうか、さっき俺、撃たれましたよね?」
兵卒「はぁ、まあ……撃たれて落っこちて失神してましたね」
源太「なんか俺、撃たれたわりに元気じゃね?」
兵卒「(゚д゚)…………元気そうっすね」
撃たれたはずの胸には、どういうわけか痛みもなく、血が出ているわけでもない。
でも、撃たれた形跡はある。
源太「……」
兵卒「……」
源太「((((;゚Д゚)))) これ俺、もしかして永遠の命とか手に入れちゃった?」
兵卒「ΣΣ(´∀`;) は!? 何言ってんすか!?」
源太「ていうかおまえ兵卒っぽい格好してるけど実は神様だったりする? もしかして俺に不老不死の魔法とか掛けた? (;゚д゚)ゴクリ…」
兵卒「工エエェェ(´д`;)ェェエエ工 いや、やっぱ隊長ダメそうですね!? 主に頭が…! もういいですからちゃんと寝てて下さい、その分俺らが討伐頑張りますから…! 早く治して下さい、あたまを!!」
源太「えっ」
兎にも角にも解せない源太左衛門。
撃たれたと思しき胸の辺りを探ってみると、出陣から身につけていた日限り地蔵尊の守札が出てきました。
この守札に敵弾が命中していたために、負傷・落命を免れていたんですね。
でもそんなスペシャルな守札も、流石に被弾の衝撃まで吸収してはくれなかったようで、その衝撃で落馬・失神してしまったのだろう。という結論に。
その後、源太左衛門は無事に二本松へ凱旋。
石の地蔵尊を刻んで称念寺に奉納したそうです。
この時の出来事に因んで「身代り地蔵」とも呼ばれる「日限り地蔵尊」は、今日も称念寺の境内で穏やかにみんなを見守ってくれています。